妊婦さんは脚がとてもつらいですね。本当によくむくみますし、明け方少し足を伸ばしたり、ふくらはぎの筋肉に力をいれただけで脚がつりそうになる、つるという妊婦さんは非常に多いです。検診の時にお医者さんや助産師の方に相談してみても、「妊婦さんだからしかたがないですねー」と言われるケースがほとんどで、なかなかかわいそうだなとも治療をしていて感じます。なぜ妊婦さんは明け方足がつりやすくなるのか、むくみがひどく出るのか、緩和させるためには何をしたらいいのか、少しまとめますので参考にしてみてください。
妊婦さんの脚の状態
個人差はありますが基本的に妊婦さんの脚の状態は20週を過ぎたくらいから、だるくなり、重さを感じ、むくみやすくなります。そして「明け方に脚がつる」という現象が起きてきます。原因としては、妊婦さんはお腹の中の赤ちゃんが大きくなるにつれて体重が増えます。体重が増えることで物理的な足の筋肉の負担が大きくなってくることが考えられます。ただ単純に体重の増加だけが、足の筋肉の状態を疲労が溜まりやすくするわけではなく、歩き方の変化、今まである程度脚を上げ歩いていた歩き方から、すり足のようなあまり大きなお尻の筋肉を使わない歩き方になってくるため、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)や足の前側の筋肉(前脛骨筋)が非常に疲れやすくなります。筋肉が疲れやすくなる状態とは、筋肉が硬くなっている状態です。この状態の筋肉は非常につりやすい状態です。さらに循環する血液量が増えることもむくみ、つりやすくなる原因の一つです。血液はカルシウムイオンやカリウムイオン、マグネシウムイオンのバランスで活動しているのですが、寝ている時に一定量動いて血流が、寝返りや足に少し力を入れた瞬間に血流が変化し、イオンバランスが崩れ筋痙攣を起こす、これが明け方に一番脚がつりやすい理由です。日中歩いていたりと脚の筋肉を使っている時は血流がある程度一定なので、筋肉の状態としてはイオンバランスが取りやすくつりにくいのですが、妊婦さんは寝ている時に寝返りの回数も減ってきて筋肉への血流があまり一定ではなくなるため、急なイオンの変化に対応できなくなるのです。明らかに妊婦さんの脚は通常の脚よりも釣りやすい脚に変化します。さらにそれは週数が進むにつれ、お腹が前に出てくる妊娠後期に入ってくると、鼠蹊部のリンパ節を人によっては圧迫しやすくなってしまうので、むくみの状態も今までとは比べものにならないくらいにひどくなったりもします。患者さんを見ていると、足首がなくなってしまうくらいのむくみになる人もいます。これは大変ですね。30週を過ぎてから今まではそれほどむくみは大丈夫だったのに、急に来た!という方がいるのはこのような理由です。