ぎっくり腰と同じくらい多い妊娠後期に起こる仙腸関節の痛み
妊娠期間中、特に妊娠後期は妊婦さん特有のぎっくり腰になりやすい話を前回しました。もう一つ妊娠後期に起こりやすい妊婦さんの特徴的リスクがあります。それがお尻の筋肉に痛みが出やすい仙腸関節痛です。
仙腸関節とは、仙骨という骨盤の後ろ側にある骨と、腸骨という左右の骨盤になる骨の関節部分で、お尻を手で触った時に段差を感じることができる場所です。
この仙腸関節が、妊婦さん、特に妊娠後期32週を過ぎると非常に痛みが起きやすくなります。これはとても特徴的で、一般的にはこの部分が痛くなることはスポーツ選手、特に体操など過度に仙腸関節部分にストレスのかかる場合に起きやすいのですが、妊婦さんはまた別の理由からこの仙腸関節にストレスがかかります。
ストレスのかかる妊婦さんの仙腸関節
妊婦さんは妊娠後期、特に28週を過ぎてくるとお腹の大きくなる、大きくなるばかりか少し前に出てくるようになります。このことにより腰骨が反り気味になるので背筋群に負担がかかり、筋力が弱かったり、筋バランスが悪いとぎっくり腰になりやすくなります。同時に、このお腹が前に出てくるにつれ、妊婦さんは歩き方がペンギン歩きのようにすり足をするような歩き方に変わってきます。すり足をするような、小股の歩行でしかしづらくなってくるのです。妊娠前期はつわりなどの影響により神経系のストレスが大きく、頭や肩、肩甲骨など上半身に症状ができやすく、妊娠中期は、循環血液量が増加したり、少し運動不足になることから、足のむくみやこむら返り、足のつりが増えてきます。しかしこの時点ではまだ歩幅が変わるような大きな身体的変化は少なく、歩幅もまだ比較的大きいため仙腸関節の可動域はある程度確保できています。
しかし妊娠後期になると、お腹が前に出ることにより歩幅が減少し、仙腸関節の可動域が非常に狭くなります。これが仙腸関節を構成する筋肉、靭帯にとっては非常にストレスになるのです。